雪をナメてる都会人ドライバー! 度重なるスタック、結局「冬タイヤ」は何を選べばいいのか
車の雪トラブルはなぜ毎年起こるのか。一言でいえば、その根源は自動車ユーザーの不注意と雪道運転に対する根拠のない過信にある。
北米での普及

マッド&スノータイヤと呼ばれることもあるオールシーズンタイヤは、その名のとおり、トレッドパターンやゴム素材、さらには内部構造などを変えることで、ある程度ぬかるんだ道や雪道でも走れるように設計されている。
もちろん、乾燥路面でのグリップや操縦性は夏タイヤには及ばないし、雪道での性能もスタッドレスタイヤには及ばない。平凡な性能といって差し支えないが、刻々と変化する路面コンディションを長距離走行することも珍しくない北米市場では、新車装着率が高いタイヤだった。
特徴的なのは、タイヤサイドのM+S(「泥と雪」の意)のモールドだ。欧米製のタイヤには、雪道での性能を高めるために、一般にスノーフレークと呼ばれる山マークと雪マークを組み合わせたモールドを持つものがある。
こうしたオールシーズンタイヤは、年間を通じて日常的な使用には特に問題はない。また、例えば東京で1年に一度降るような雪や、シャーベット状の雪にも対応できる。
もちろん、ドライバーはタイヤの性能の限界を理解し、急ハンドル、急ブレーキ、急加速を避け、慎重に運転することが前提である。その上で、現在のフルタイム4WDシステムを搭載したスポーツタイプ多目的車(SUV)は、少なくとも路上で立ち往生するリスクを大幅に減らすことができる。
タイヤはクルマを構成する数多くの部品のなかでも、車両の操縦性や快適性を左右する極めて重要な部品である。別の見方をすれば、自動車メーカーが新車へのオールシーズンタイヤの採用に消極的なのも理解できる。しかし、日本の冬、特に首都圏での降雪量を考えると、新車装着とまではいかなくても、選択肢が増えるのはいいことだ。