コンテナ海運の大合併時代! 主要企業が10年で半減したワケ

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2010年代に入ってから、主要コンテナ船社の数はすでに17社から9社へとほぼ半減している。本稿では、最近の大手の合従連衡について説明する。

未だ進化中のコンテナ輸送

コンテナ船MSCゾーイ、ユーロポート - ロッテルダム(画像:MSC)
コンテナ船MSCゾーイ、ユーロポート – ロッテルダム(画像:MSC)

 現在、世界のコンテナ海運業界でにわかに再編の可能性が取りざたされている。実は2010年代に入ってから、すでに主要なコンテナ海運会社は17社から9社へとほぼ半減しており、再編に向けた動きは一段落したと見られていた。

 1960年代にコンテナが世界の主要航路で用いられるようになってから60年ほどしか経過していない。しかし、21世紀に入ってからも船一隻で運べる貨物量や世界のコンテナ輸送量がそれぞれ約3倍まで大きくなるなど、コンテナ輸送は今も変化が続いている。

 加えて、世界経済の状況が、コンテナ海運の産業構造にも影響をもたらした。本稿では、近年における主要コンテナ海運会社の合従連衡について簡単に説明したい。

主要コンテナ海運会社とアライアンス

マースクのウェブサイト(画像:マースク)
マースクのウェブサイト(画像:マースク)

 コンテナ海運業界で「主要会社」という場合、北米・欧州・大西洋の基幹航路を中心にグローバルアライアンスを形成して世界でサービスを展開している会社を指す。

・スイスに本社を置く「MSC」
・デンマークの「マースク」
・フランスの「CMA-CGM」
・中国の国有船社「COSCO」
・ドイツの「ハパッグロイド」
・日系シンガポール船社の「ONE」
・台湾の「エバーグリーン」
・台湾の国営船社を起源とする「陽明海運」
・韓国の「HMM(旧:現代商船)」

である。

 グローバルアライアンスは、海運会社がアジア・北米間およびアジア・欧州間の基幹航路を中心に共同で船舶を運航したり、スペースを貸し借りしたりする仕組みである。主要海運会社はこの方法を使うことで世界中にネットワークを効率的に張り巡らせることができる。

 現在、MSCとマースクによる2Mアライアンス、CMA-CGM、COSCO、エバーグリーンによるオーシャンアライアンス、そしてハパッグロイド、ONE、陽明海運とHMMによるTHEアライアンスが存在する。

 同じアライアンスに属する海運会社は

・船舶の輸送スペースを融通しあうスペースチャーター
・コンテナターミナルの共同利用
・運航スケジュールの調整

などの業務において世界規模で提携する。ただし、各海運会社は営業活動を別に行うため、共同運航されている船であってもどの社を利用するかに使うかで荷主が払う運賃は異なる。

 荷主と船社のニーズの双方に沿う形で世界的にアライアンスの枠組みが利用されるようになったのは1990年代のことだ。経済のグローバル化が進展して荷主企業から海上物流の効率化や輸送サービス改善を求める声が強まっており、このニーズに対応できる輸送体制を海運会社が単独で構築することは困難だった。アライアンスを組むことで海運会社はコンテナ1本当たり費用が低く効率の高い大型船を有効活用し、航路網の充実を図った。

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