異常時にランプ点灯! 便利な「タイヤ空気圧監視システム」は、なぜ日本で普及しないのか

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タイヤ空気圧監視システム(TPMS)の導入は、2000年代初頭に米国で始まったといわれている。日本ではまだ普及していない。なぜか。

走行性能への影響

タイヤ空気圧警告灯(画像:写真AC)
タイヤ空気圧警告灯(画像:写真AC)

 タイヤの空気圧は、クルマの走行性能に大きな影響を与えるため、最新の技術を駆使してリアルタイムでモニターされている。適正な空気圧はタイヤと路面の接地面積を最適化し、車両の操縦性と安定性を向上させる。また、適切な空気圧はタイヤの耐久性を高め、パンクのリスクを低減する。

 しかし、空気圧が低いとタイヤと路面の接触面積が増え、摩擦が大きくなる。その結果、タイヤの温度が上昇し、タイヤの摩耗が早まる可能性がある。また、制動距離が長くなり、急ブレーキ時の安全性が低下する。さらに、燃費も悪化する。これは、車両が前進するのに必要なエネルギーが増加するためである。

 一方、空気圧が高すぎると、タイヤと路面の接触面積が減少する。これにより、タイヤのグリップ力が低下し、路面からの衝撃を吸収する能力が低下する。その結果、乗り心地が悪くなり、路面の凹凸による衝撃が直接車体に伝わり、クルマの部品に負担がかかる可能性がある。

 日本自動車連盟(JAF)交通安全協会のテスト調査によると、タイヤの空気圧が適正値から30%低下すると燃費が平均4.6%低下し、60%低下すると平均12.3%低下すると報告されている。

また、タイヤの空気圧が低いと、惰性走行による走行距離も短くなる。具体的には、適正空気圧で90.1m走行したのに対し、空気圧が30%低下した場合は83.5m、60%低下した場合は62.2mしか走行できなかった。

 したがって、ドライバー自身がタイヤの空気圧を定期的にチェックし、必要に応じて調整することが重要である。そうすることで、クルマの性能を最大限に引き出し、安全運転を確保することができる。また、燃費も向上し、ドライバーは経済的なメリットを享受できる。タイヤの空気圧管理は、クルマのメンテナンスの一環として、ドライバー自身が行うべき重要な作業なのである。

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