トヨタグループの相次ぐ不正は“日本の歪み”そのものだ 「現場との断絶」「セクショナリズム」、第三者委の調査書を改めて読む

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トヨタグループの不正行為の背景を再確認するため、豊田自動織機、ダイハツ工業、日野自動車の第三者委員会の調査報告書を改めて整理する。

豊田自動織機:「受託体質」に代表される企業体質

2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)
2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)

 豊田自動織機による、ディーゼルエンジン認証取得時の不正問題が大きな波紋を広げている。直近ではダイハツ工業の不正問題もあり、トヨタ自動車グループとして責任や経営のあり方について厳しい視線が向けられている。

 そこで、不正事象にどのような背景があったのか再確認すべく、豊田自動織機、ダイハツ工業、日野自動車の第三者委員会による調査報告書を改めて読む。

 豊田自動織機の報告書では、一連の不正におよんだ根本原因として、

・受託体質
・産業車両用エンジンの軽視
・エンジン事業部の幹部らのリスク感度の低さ

といった企業体質・組織風土に加え、

「事業部体制の弊害とそれをカバーするための経営陣の取り組み不足」

が挙げられている。

 受託体質については、自動車用エンジン開発の責任を負う主体はトヨタ自動車であり、トヨタ自動車から求められるままエンジン開発を行ってきた側面が強いと指摘。また、受託体質により、タイトな開発スケジュールを突きつけられても見直せず、担当者が部長級に相談しても「何とかしろ」といわれる雰囲気があり、半ば諦めていて報告しなかったという。

 なお報告書では、タイトな開発スケジュールの設定が問題ではなく、合理性の判断や不測の事態が発生した時に合理的な方向へ修正することができるかどうかが問題だと指摘している。

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