白いロマンスカー「VSE」がわずか18年で引退を余儀なくされたワケ
技術的課題と引退

しかし、その人気ゆえメンテナンスが難しい車両でもあり、早すぎる引退につながった。車両の老朽化と主要機器の更新が困難であることが、小田急電鉄が公式に発表した引退の理由である。
一般的に鉄道車両の寿命は30年とも40年ともいわれているが、すべての部品が数十年も使い続けられるわけではない。使用に応じて部品を交換し、途中(例えば製造から20年程度)で大規模な設備更新を行うのが一般的だ。
しかし、VSEは特殊な部品を使用しているため、部品の調達や修理が難しかった。また、「アルミ合金押出型ダブルスキン構造」と呼ばれる車体構造は、剛性・軽量・遮音性・断熱性に優れているが、溶接など熱を加える方法での補修・改造が極めて難しい。
また、VSEのメンテナンスの難しさは、世界中どこにあっても同じである。したがって、先輩ロマンスカーである10000形「HiSE」や20000形「RSE」のように、地方私鉄に譲渡されるとは考えにくいし、実際そのような話は聞こえてこない。
小田急電鉄は海老名駅に隣接する「ロマンスカーミュージアム」でのVSEの展示を検討すると発表している。VSEの保存は望まれているが、今回の発表は、VSEがその寿命を全うするまで展示されることを前提としている。
鉄道ファンなどは、VSEが引退するもうひとつの理由は、ホームドア(可動式ホーム柵)の設置に支障をきたすからではないかと推測している。VSEは連接構造であるため、他のロマンスカーや一般車両とは全長やドア配置が異なるからだ。しかし、小田急電鉄は
「ホームドアの問題はクリアできる」
と、VSE引退の理由を否定している。一見、信じられないような話だが、例えばJR西日本が使用しているロープで昇降するタイプのホーム柵を採用すれば、VSEに対応することは技術的に可能だったはずだ。