トヨタ最終利益「4.5兆円」 グループ企業が存続危機の中、世間は本当に“一人勝ち構造”を容認するのだろうか
問われる新ビジョンの“即効性”

新ビジョンは当初、トヨタグループ創業者である豊田佐吉氏の誕生日である2月14日に発表される予定だったが、昨今の情勢を考慮して前倒しされた。
トヨタグループ創業の地である旧豊田自動織布工場(現・豊田自動織機栄生工場)跡地にあるトヨタ産業記念館が会見場に選ばれたことで、創業家としての原点を強く意識し、グループの歴史を伝えたいという強い印象が残った。
前日の豊田自動織機による記者会見の直後というタイミングもあり、日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機など、グループ各社による一連の認証不正について、豊田氏がどのような発言をするのかに世間の注目が集まった。記者会見では、まずトヨタグループの歴史が説明され、その後、認証不正について謝罪し、質疑応答に移った。
トヨタグループの新ビジョン「次の道を発明しよう(Inventing our path forward,together)」が発表され、社員ひとりひとりが持つべき五つの心構えが盛り込まれた。
・誰かを思い、力を尽くそう。(Aim high and care deeply.)
・仲間を信じ、支えあおう。(Trust and uplift your colleagues.)
・技を磨き、より良くしよう。(Endlessly improve your craft.)
・誠実を貫き、正しくつくろう。(Honesty first,integrity always.)
・対話を重ね、みんなで動こう。(Connect and collaborate.)
このなかで、認証不正を正すために最も即効性があるのは「誠実を貫き、正しくつくろう。」という姿勢である。ただ、新ビジョンがグループに浸透するまでにどれくらいの時間がかかるのか。求められるのは、“即効性”である。