トヨタ最終利益「4.5兆円」 グループ企業が存続危機の中、世間は本当に“一人勝ち構造”を容認するのだろうか
透明性求める国民の視線
豊田氏は記者会見で、社長在任中の14年間は
「トヨタにものがいいづらいという点があった」
と認め、2023年のトップ交代で意見がいいやすくなったとも語った。グループ内にそのような風土があることを認めるのであれば、一刻も早くそれを排除することが最優先されるべきである。
トヨタグループ17社は全世界で約100万人を雇用しており、グループ各社のサプライヤーも含めれば、自動車産業全体に与える影響は計り知れない。今回の日野自動車やダイハツの認証不正では、親会社であるトヨタの責任が問われ、グループ各社や取引先に
「徹底したコスト削減」
を求める企業姿勢も批判されている。
トヨタは2月6日、2024年3月期の連結売上高予想を43兆円から43兆5000億円に、純利益を3兆9500億円から4兆5000億円に上方修正すると発表した。ただ、相次ぐ認証不正でグループ会社が存亡の危機にひんするなか、
「トヨタだけが空前の純利益を上げられる構造」
を、国民は本当に容認するのだろうか。
豊田氏は会見を次の言葉で締めくくった。
「ビジョンの発表ということで、トヨタグループで起こった不正、3社の個別のことには入りませんでしたが、私自身のモノの見方、考え方に、多少、ご理解は進んだかとは思っています。やってはいけないことをやったグループの責任者として、改めまして、ご心配をおかけしたこと、大変申し訳なく思っています。けれども、今日からグループ責任者として、動いてまいりますので、ぜひとも、今後とも、叱咤(しった)激励をよろしくお願いしたいと思います」(トヨタイムズ)
今回の会見では明確なゴールは明言されなかったが、前述の三つの公約を実行するなかで、その先にある“真の変革”に向けて、原点に立ち返り、豊田氏自身が引用したガバナンスの語源「船のかじをとる、導く」を実践することを切に願う。