三重交通キャラ“性的イメージ”大炎上は全く問題ない! 「表現の自由」を長年取材したルポライターが騒動の本質を問う
「萌えキャラ」が自治体にもたらす影響
自治体や企業が「萌(も)えキャラ」を使い始めてから、こうした騒動は何度も繰り返されてきた。なかには、批判を受けて使用を取りやめたケースもある。
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例えば2014年、三重県志摩市をPRするために作られた海女をモチーフにしたキャラクター「碧志摩(あおしま)メグ」は、海女のイメージとかけ離れ、女性蔑視の性描写があるとして公認を取り消された(その後、非公認キャラクターとして継続)。
最近では、2021年に千葉県松戸市のご当地バーチャルユーチューバー「戸定(とじょう)梨香」が松戸警察署・松戸東警察署の交通安全啓発動画に起用された際、千葉県警が
「使用しているキャラクターが、適切じゃないのではとのご意見をいただいた」
として終了予定前に動画を削除。これが物議を醸した。
一方で、批判を受けながらも支持されたケースも少なくない。
例えば、2011(平成23)年に松戸市が防犯キャンペーンのポスターに萌えキャラの「松宮アヤ」を起用した。そのデザインに苦情もあったが、防犯ボランティアの育成講習会に参加する若者が増えるなど、一定の効果があったといわれている。
近年、萌えキャラを活用するケースが増えているのには、いくつかの理由がある。ひとつは、マンガやアニメ文化で育った世代が広がり、キャラクターを活用することで注目を集めやすくなったことだ。また、基本的に“絵”であるため、安価である。
サブカルチャーの言論・表現の自由をテーマにしたルポルタージュ『コミックばかり読まないで』(イースト・プレス、2015年)を執筆した筆者(昼間たかし、ルポライター)は、萌えキャラを使ったさまざまなキャンペーンを取材してきたが、自治体主導のものでも、関連イベントを含めて年間予算は100万円に満たないのがザラだ。それでも、関連グッズによる収入やファンの来場など、大きな効果が期待できる。
例えば、北海道羽幌町に本社を置く沿岸バスは、2006年から萌えキャラを起用している。同社は、萌えキャラの周遊乗車券「絶景領域・萌えっ子フリーきっぷ」や缶バッジ、キーホルダーを各200円で販売している。売り上げは年間数百万円程度だが、同地区を訪れるファンが増え、知名度や新たな需要が生まれているという。