60人死亡の惨劇も 21世紀「空港テロ」の歴史と現実、今年のパリ五輪は無事開催なるか
飛行機が炎上するなどの事故は過去にも繰り返されてきたが、テロの歴史を通じて空港でのテロ事件も頻発しており、21世紀以降もいくつかの事例がある。
自爆テロが示す国際空港の脆弱性

また、空の玄関口を狙ったテロ事件はそれだけではない。2011年1月24日、モスクワ・ドモジェドヴォ国際空港の国際線到着ターミナルで、ベルトに約5kgの爆発物を身につけた男による自爆テロ事件が発生し、35人以上あまりが死亡、170人あまりが負傷した。
テロの現場が国際空港ということもあり、死傷者もロシア人以外にイギリス、ドイツ、フランス、ブルガリア、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギスなど多くの外国人が巻き込まれた。
その後の捜査当局の調査で、このテロ事件はロシア南部のイングーシ共和国出身の20歳の青年によるものと特定された。また、テロ情報の分析を行う民間組織、米国インテルセンターのウェブサイトに2月8日、ロシア南部カスカス地方を拠点とするイスラム過激派組織「カフカス首長国」の指導者ウマロフによる犯行声明がアップデイトされ、犯行声明の中で、
「今回のテロ事件は私の指令によるもので今後も続けられる、カフカス地域にイスラム国家を建設することが目標だ」
と言及した。
そして、同事件を受け諸外国の国際空港でも警備が強化された。例えば、中国の警察当局は1月25日、モスクワのドモジェドヴォ空港で起きた爆弾テロ事件を受けて、北京首都国際空港の治安を強化した。北京国際空港では、春節期間中の安全確保のため、手荷物受取所、チェックインカウンター、出発・到着ロビーなど空港の主要箇所に警察犬を配備された。また、私服警官を増員し空港内の警備を強化し、監視カメラ映像や乗客の流れを24時間態勢で監視した。