なんと500社以上! なぜ中国には「EVメーカー」がやたらと多いのか

キーワード :
,
中国では現在、500社以上のメーカーがEVを生産している。実際、中国のEV情報サイトを見ていると、日本ではまったく知られていないメーカーが数多く見つかる。

EV普及には低価格化と政府支援が必要

宏光MINI(画像:上汽通用五菱汽車)
宏光MINI(画像:上汽通用五菱汽車)

 ハイエンド、ミドルエンド市場のメーカーが都市部を中心に展開する大手だとすれば、ローエンド市場は地方のインディーズ的なメーカーが担ってきた。しかし、中国での成功後、各社は海外に工場を建設することに積極的になっている。大手メーカーもローエンド市場に強い関心を寄せている。今後も激烈なシェア争いが続くと思われる。

 中国のEV市場の現状は、BYDのようにシェアを拡大している企業もあるが、独占はしておらず、ローエンド市場に見られるように、積極的な参入が行われている。このような過当競争状態は、新しい技術やモデルの導入、消費者が購入しやすい低価格モデルの相次ぐ投入につながっている。こうした激しいイノベーションの流れが、中国におけるEV発展の原動力となっている。

 翻って日本はどうだろうか。EVの利便性と環境負荷の低さが話題になっているが、日本車の価格はまだまだ高い。一番安いトヨタのタイプC+podX(2シーター)でも165万円前後である。現状ではEVはエンジン車よりかなり割高で、それが普及を遅らせていることは否めない。

 1958(昭和33)年、国の乗用車普及策によって誕生したスバル360は、約100万円だった乗用車の価格を42.5万円まで下げ、庶民にも手の届く価格とすることで爆発的な人気を獲得した。その後、自動車の価格は下がり続けている。

 日本でEVを普及させるためには、低価格化、大規模な補助金、優遇税制などの施策が必要だ。EVの開発が停滞したままでは、イノベーションから取り残され、日本の自動車技術そのものが後退してしまう。

全てのコメントを見る