なんと500社以上! なぜ中国には「EVメーカー」がやたらと多いのか

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中国では現在、500社以上のメーカーがEVを生産している。実際、中国のEV情報サイトを見ていると、日本ではまったく知られていないメーカーが数多く見つかる。

政府の優遇策とIT企業進出

同期モーターと誘導モーターを組み合わせた世界初のスポーツタイプ多目的車(SUV)「ES6」、価格は33万8000元(約700万円)から(画像:蔚来汽車)
同期モーターと誘導モーターを組み合わせた世界初のスポーツタイプ多目的車(SUV)「ES6」、価格は33万8000元(約700万円)から(画像:蔚来汽車)

 数百社が自動車製造に参入するような状況はなぜ生まれたのか。理由は主にふたつある。

・政府主導のEV事業は早い段階から取り組まれていた
・IT関連企業を中心に、異業種から多くの企業がEV事業に参入した

 本サイトの別記事にもあるように、中国政府は早くからEVを通じて自動車産業で世界のリーダーになるチャンスがあることに気づき、先手を打った。その結果、さまざまな優遇措置が実施され、異業種企業のEV市場への参入が加速した。日本では、ソニーが2020年にEVのプロトタイプを発表し、本格的な商品化を進めていると報じられている。また、米国では以前からアップルがEV事業に参入するとの観測があった。

 これに対して中国では、IT関連企業が何らかの形でEV市場に参入することはすでに一般的だ。テンセントは蔚来汽車に資本参加し、ハイエンドEVの製造に参画している。アリババも上海汽車と共同でEV新会社を設立し、ハイエンドEVの本格生産を開始した。バイドゥは、ライドシェア用の自動運転EVの生産を商業化する意向を表明している。このほか、携帯電話や家電で知られるシャオミやファーウェイもEV事業に資本参加し、技術を提供している。先日倒産した不動産大手の恒大集団も、新規事業としてEV生産を計画していると報じられていた。

 IT業界が相次いでEV市場に参入した背景には、EVの普及による自動車のIT化がある。従来のガソリン車と異なり、Iot化されたEVにはIT技術が欠かせない。今後、外部からの情報を取り入れながら完全自動運転が実現することを考えると、IT業界との連携が不可欠だった。

 また、EVは機構が簡素化されている。なにより、電子部品を多用するEVは、自動車メーカーが2次、3次下請けから専用部品を調達するという従来の構造も解体しつつある。EVに不可欠な電子部品の製造を一手に握ることで、大きなシェアを獲得できると考えているのだ。

 こうした見通しから、異業種からの新規参入やメーカー数の増加につながっている。

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