日本初のテスラ付き「賃貸マンション」は成功するか? ジャーナリストの私が感じた大きな疑問と可能性とは

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日本初のテスラ付き賃貸マンションが東京・恵比寿にオープンする。欧米ではEV離れが問題視され、シェアリングカーの管理が懸念されている。また、EVと賃貸住宅の相互連携により、災害時のEV活用方法も模索されている。

V2Hと新しい住まい

日本初のテスラ付き賃貸マンション「ルミークスイート恵比寿」(画像:コロンビア・ワークス)
日本初のテスラ付き賃貸マンション「ルミークスイート恵比寿」(画像:コロンビア・ワークス)

 ここからは、BEVと一般的な賃貸マンションとの親和性について考えてみたい。

 これまで、充電設備のない賃貸マンションでBEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)を所有することは現実的ではなかった。しかし、最初からEVが併設されていれば、そうした不安を拭い去ることができる。そして、ここで気づかされるのは、単にカーシェアリングのためだけにEVを建物に設置するのはもったいないということだ。

 家庭とEVの関係で最近注目されているのが、いわゆるV2H(Vehicle to Home)である。これは、住宅とEVを電気的に相互接続し、EVを充電するだけでなく、緊急時にはEVから住宅に電力を供給するというものだ。

 この例から、さらに一歩進んだ集合住宅の新しい利用法を想像することができる。それは、カーシェアリングサービスと組み合わせてV2Hを導入することだ。複数のEVに加え、蓄電池システムなどを導入し、非常用電源システムを備えた災害に強い集合住宅を実現するのだ。

 近年の電力供給インフラの進化により、大半の地域で停電が発生するケースは少なくなった。しかし、地震大国である日本の場合は、常に停電が懸念される。そうしたことを考えると、わずかな非常用灯やスマートフォンの充電ができる非常用電源の存在は大きな安心材料となる。

 一般住宅におけるV2Hの存在は、非常用電源としてよりも、日々の電気代の節約を主な目的としている。一方、集合住宅におけるEVと建物の連携は、今後の都市設計の重要なポイントになる可能性を秘めているのではないか。

 多くのマンションデベロッパーにとって、時代のニーズに応え、顧客の興味を引く住宅を企画することが事業拡大のカギとなる。EVカーシェアリングサービス付き賃貸マンション誕生のニュースは、そんな豊かな開発の可能性を想像させる一例である。

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