迷走続けるサイドミラー! 行き着く先は結局「ミラーレス」なのか
1983年に規制が撤廃されると、ドアミラーを装備した日本車が登場した。その後、ドアミラーは日本独自のガラパゴス的進化を遂げた。本稿では、そんなサイドミラーの進化の歴史をひもといてみたい。
デジタルアウターミラー時代の可否

革新的ではあるが、デジタルアウターミラーがドアミラーのように普及する可能性は低いと考える。
どちらも車両後方を確認するという意味では同じだが、物理的な鏡を見る行為と「モニターを見る」という行為には大きな違いがある。限られた時間のなかで、ドライバーが正確に映像を捉えて判断するには、慣れが必要かもしれない。実際、インターネット上では
「目視の方が信頼できる」
「モニターの映像だけを完全に信じるようになったら、逆に危機感や注意力が低下しそう」
といった声も聞かれる。
対してドアミラーは、その物理的な大きさから“邪魔者”として扱われがちだが、狭い場所を走行する際には、車幅の目印にもなる。ミラーを使って距離を測り、通行可能かどうかを判断できる。
また、大衆車への普及を考えると、コスト面は避けて通れない。レクサスESの場合、アウターミラーをオプションで選択すると、価格差は約22万円から28万円と高額になる。ぶつけてミラーが壊れる可能性を考えると、見過ごせない価格である。
ただし、普及の可能性がないわけではない。技術が進歩し、普及が進めば性能もコストも落ち着くだろう。ドライバーの適応も、システムに接する機会が増えることで進むと予想される。
デジタル方式は、自動運転や運転支援システムとの親和性が高い。これらのシステムは多くの情報をデジタルカメラから得ている。しかし、情報源としてデジタルミラーにこだわる必要がないのも事実だ。デジタル化が進む将来の自動車の大半はサイドミラーレスになるのかもしれない。