被災地支援の遅れは「ヘリ」「自衛隊」の能力不足ではない! ネットには「ヘリ降りられない」という謎投稿も 震災3週間で考える
行政機能の機能不全

その一方で、自治体の消防防災ヘリコプターは、比較的小型な機種が多く、数も限られていることから、避難所などへの物資輸送や被災者の移送までは、なかなか手が回らない。そうしたニーズに応えるのは、主に
「自衛隊のヘリコプターによる空輸能力」
である。今回の災害でも、孤立集落の被災者から自衛隊のヘリコプター部隊に期待する声は多かったが、特に初期の段階では十分に支援が届いたとはいえず、これも
「自衛隊の派遣規模は適正だったのか」
を疑問視される一因になっている。
こうした問題が発生した理由として浮かび上がるのは、孤立した被災集落は過疎地で行政職員も少なく、通信インフラの確保も困難になってしまったことで、
「状況や受援ニーズの把握と伝達」
がうまく行かなくなっていたことである。発災直後に石川県の馳知事が発信したSNSによると、県災害対策本部のホワイトボードには、被害の大きかった能登市や珠洲市と連絡が取れていない様子が書き込まれている。
自衛隊や消防は、基本的に県の災害対策本部の要請を受けて活動する。しかし、県の災害対策本部に現地の情報が乏しく、自衛隊への出動要請にもつながらなかった可能性が高い。それだけではなく、現地に入ったジャーナリストらの情報からは、孤立地の避難所で救援ニーズを取りまとめる機能や、そのニーズを受け止めて的確な支援を調整する機能が、スムーズに働いていないことが伺える。
つまり、発災から3週間を経て見えてくるのは、ヘリコプターや自衛隊の能力不足ではない。被災者支援のなかで、
「県や国の主体的な関与が求められるプロセスが、機能不全に陥っていた」
ことである。その原因には、石川県の防災計画が古いままで、地震調査委員会による最新の知見も取り入れられていなかったことも指摘されている。
この震災における被災地支援の遅れを、自衛隊やヘリコプターの責任に帰すことは間違いである。地方と国の行政機関において、
・災害対策計画は十分なものであったのか
・発災時の対応能力が十分であったのか
それを問うてこそ、今後に生かすべき教訓が得られるはずである。