入社すれば「300万円の車」プレゼント! 1980年代、大阪の企業がこんな突飛なことをやらかしたワケ

キーワード :
,
平成初期、クルマを所有することが当時の若者にとってステータスであり、夢だった。

自動車等関係費の相互影響

全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)(画像:総務省)
全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)(画像:総務省)

 現在では、クルマを所有することをステータスと考える人が激減し、バブル期特有のエピソードが理解されにくくなっている。「若者のクルマ離れ」という言葉は、価値観の変化を示す「若者の○○離れ」の典型例となっている。

 しかし、若者のクルマ離れが叫ばれる一方で、クルマの保有台数は前述のように現在まで右肩上がりで増え続けている。日本のクルマにかかる費用の推移を見てみよう。総務省の「全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)」をもとに、1989年と2019年の単身世帯の「自動車等関係費」を比較したのが表である。

 それによると、自動車等関係費の全国平均は6902円から9031円に増加している。また、その増減は地域や大都市圏によっても異なる。北海道では大幅に減少しているが、北九州都市圏では大幅に増加している。これらの統計は、クルマ離れが全国一律ではないことを示している。地域による増減の違いには、次のような要因が考えられる。

●交通インフラの関係
 公共交通機関の利便性が低下した地域では、クルマへの依存度が高まり、自動車等関係費が増加している。

●経済的な変化
 購買力の高い地域ではクルマを購入する機会が増え、自動車等関係費が増加している。

●人口動態
 若者の割合が多い地域では「クルマ離れ」が進み、高齢者の割合が多ければクルマの利用が続き、自動車等関係費は増加する

 これらの問題についてはさらなる分析が必要だが、日本人がクルマへの関心を失っていないことは明らかだ。バブル景気の「クルマがすべて」という風潮は過ぎ去った。一方で、クルマは日常生活に浸透し、必需品となった。持っているだけで優越感に浸れるという風潮はなくなったが、日常生活に欠かせない存在としてのクルマへの関心は依然として高い。「クルマ離れ」とは、まさに「クルマを持つことで優越感を得る」という感覚の衰退なのかもしれない。

全てのコメントを見る