タクシー運転手試験「20言語対応」という愚策 安易な多言語化は「乗客の危険」を招くだけだ

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警察庁は、タクシーやバスなど旅客を輸送する自動車の運転に必要な「第2種運転免許」について、外国語による試験を認めることを決めた。しかし、その拡大は疑問が残る。

日本語教育が解決策

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 多言語化は一見、多様性を促進するように見えるが、実際には

・労働市場
・社会的結束

においてさまざまな問題を引き起こす可能性がある。特に、旅客の安全に関わる第2種免許の多言語対応は避けるべきである。

 外国人労働者の導入が労働力不足の解決策と見なされるのであれば、まず最も重要なことは、彼らが日本社会に適応するための徹底した日本語教育である。また、日本社会への適応を支援する学習プログラムの開発も必要である。これは彼らの権利を守ることにもつながる。

 人手不足を解消するために、やみくもに雇用範囲を広げるのは得策ではない。まずは、語学教育を前提とした受け入れの制度設計を考えなければならない。それらを忘れた2種免許の多言語化は表面的な対応に過ぎず、長期的には社会の安定を脅しかねない。

 彼らがミスを犯しても、私たち日本人客は最初はほほ笑んで、何事もなかったように済ませるだろう。しかし、それが積み重なれば、SNS上での匿名の誹謗(ひぼう)中傷合戦が発生するに違いない。その光景がありありと目に浮かぶ。彼らはわざわざ日本に来てくれたのだ。そんな事態は何としても防がなければならない。

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