カワサキが今月「水素バイク」を発表した深い理由 なぜこのタイミングだったのか?

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カワサキは先日、水素燃料モーターサイクルを発表した。なぜこのタイミングだったのか。その答えは、今後のモーターサイクル市場の動向を見据えた長期的な戦略にある。

電動化への挑戦、

「カワサキ」のロゴマーク(画像:カワサキモータース)
「カワサキ」のロゴマーク(画像:カワサキモータース)

 2023年12月12日、川崎重工業は同社の「グループビジョン2030進捗報告会」において、傘下のカワサキモータースが開発した水素を燃料とする排気量1000ccクラスモーターサイクルの試作車を公開した。2024年には実走試験を開始するといわれている。

 カワサキは2021年頃から、既存のエンジンをベースに水素燃焼エンジンの開発に着手したとされる。水素燃焼エンジンで先行するトヨタの呼びかけに応えたものだ。翌2022年、カワサキはカワサキH2の1000ccスーパーチャージャー付きエンジンをベースとしたエンジン単体として試作機を完成させた。同社の4輪バギーに搭載され、その姿を披露した。

 今回完成したモーターサイクルも、先に公開されたH2の1000ccスーパーチャージャー付きエンジンを搭載。形態としては、H2の現行市販モデルであるH2SXに準じたスポーツツーリングモデルである。

 なぜカワサキはこのタイミングで水素燃料モーターサイクルを発表したのか。その答えは、今後のモーターサイクル市場の動向を見据えた長期的な戦略にある。

 一般的にいって、他のクルマと同様、モーターサイクル分野でも最も有望な脱炭素ビジネスプランは電動化である。しかし、問題がないわけではない。電動モーターサイクルは、特に小型のスクーターやコミューターのようなモデルであれば、操作や操縦に違和感を抱くことはない。実際、電動スクーターは主に業務用として、ゆっくりしたペースではあるが普及し始めている。

 しかし、趣味性を重視したスーパースポーツモデルはどうだろうか。現在、カワサキは2024年の新モデルとして、原付2種のライトウエートスポーツモデル「Ninjya e-1」とシティコミューターモデル「Z e-1」の発売を決定している。しかし正直なところ、市場に広く受け入れられるにはまだ時間がかかりそうだ。その理由は、電気モーターと内燃機関では

「操作感や操縦性が大きく異なる」

からだ。

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