クルマ購入者は必読? 元ディーラーがこっそり教える「メーカーオプション」「ディーラーオプション」の光と影とは
「メーカーオプション」「ディーラーオプション」それぞれにメリット・デメリットがある。本稿では、これらについてクルマを買う側と売る側の立場から解説する。
ディーラーオプションのメリデメ

次に、ディーラーオプションのメリットとデメリットを見てみよう。
●買う側の視点
買う側にとっての最大のメリットは、後から自由にクルマをカスタマイズできることだ。エアロパーツを後付けして個性を出したり、納車後にカスタマイズしたりして使い勝手をよくすることもできる。“クルマへの愛着が増す”オプションといっても過言ではないだろう。
また、新車の値引き交渉の際の交渉材料としても使える。高価なボディコーティングを組み込んで値引き交渉すれば、納車後に同じコーティングを施すよりも実質的な支払額は安くなることが期待できる。クルマ雑誌やインターネットの口コミで高額値引きを報告しているユーザーの多くは、ディーラーオプションを多く付けて数字をたたき出している可能性が高いことを覚えておきたい。唯一のデメリットは、残クレを利用しても残価に1円も加算されないこと。これは、ディーラーオプションを追加すればするほど、支払額が増えるからである。
●売る側の視点
ディーラーオプションは収益性の高い商品である。その最大の理由は、粗利率が車両本体よりも高いからである。筆者が勤務していた当時、車両本体の粗利率が平均15%程度であったのに対し、ディーラーオプションの粗利率は平均30%程度と高かった。
その主な理由は、ディーラーオプションの場合、「部品代」に加えて「工賃」も利益となるという商品構造にあった。特にボディコーティングは粗利率が非常に高く、コーティング剤よりも工賃の占める割合が大きい。ディーラーの立場からすれば、工賃はすべて利益となるため、こうした商品を売る方が商業的に効率的なのである。