クルマ購入者は必読? 元ディーラーがこっそり教える「メーカーオプション」「ディーラーオプション」の光と影とは
メーカーオプションのメリデメ

さて、概要がわかったところで、メーカーオプションのメリットとデメリットを見ていこう。ここでは、クルマを買う側と売る側でどのような視点があるのかを確認していく。
●買う側の視点
クルマを買う側にとって、メーカーオプションを選ぶメリットはいくつもある。最大のメリットは「付加価値」である。クルマを買った後、乗り換えなどで売却する際、メーカーオプションの有無で査定額が大きく変わることがある。特に、サンルーフや電動スライドドアは加点対象になりやすい。オプションカラーも加点になりやすいが、赤や青といった奇抜な色は、追加料金を支払っていてもマイナス査定になることがあるので覚えておくと安心だ。
隠れたメリットは、残価設定型クレジット(残クレ)でクルマを買った場合だ。残クレで設定される最終回支払額(残価)は、車両価格に残価率を乗じて算出される。メーカーオプションは取り外しができないオプションなので、車両価格に上乗せされる。つまり、メーカーオプション分は数年後に残価として評価されるため、若干ではあるが支払額が軽減されるメリットがある。
●売る側の視点
クルマを売るディーラーにとって、メーカーオプションは正直デメリットが多い。まずは利益面。オプションを多く付ければ売上額も利益も増えるが、メーカーオプションを多く付けても粗利にはそれほど影響しない。つまり、顧客から「オプションをたくさん付けたから値引きしてくれ」といわれても、会社としてはあまり値引きできない。
また、新車を受注した後で、顧客から「やっぱりあのオプションを付けたいんだけど……」と相談された場合、それがメーカーオプションであれば厄介である。というのも、メーカーオプション込みの状態で工場に発注しているため、発注し直さなければならないからだ。万一の場合、注文をキャンセルすることができなくなり、顧客からのクレームにつながりかねない。このようなことは、契約時に「発注後のメーカーオプションの追加や削減はできない」と説明されていても起こりうる。筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)も経験があるが、非常に厄介である。