駅のイベントポスター、“エッジの効いたデザイン”はどこまで許される? 岩手「裸祭り」JR東日本拒否騒動を振り返る

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2024年2月に幕を閉じる「蘇民祭」。過去のポスター問題を改めて考える。

公共広告と芸術の限界

蘇民祭について記したウェブサイト(画像:岩手県)
蘇民祭について記したウェブサイト(画像:岩手県)

 この騒動に限らず、公共広告のポスター掲示を拒否される事件は、JR東日本だけでも過去に何度も同様の事例が発生している。

 1997(平成9)年には横浜美術館の展覧会ポスターが問題となった。そのポスターにはヌードが描かれており、公共の場にふさわしくないと判断され、JRの駅や市立学校での掲示が拒否された。このケースは、公共の場における

・芸術表現の限界
・芸術表現に対する社会的感受性

の微妙なバランスを示している。

 2000年には、日の出町(東京都の多摩地域西部)のごみ処分場建設に反対する市民団体の作成したポスターが、その政治的な内容を理由にJR東日本から掲示を拒否された。この事例は、

・公共広告における表現の自由
・特定の政治的内容に対する自主規制

との間の緊張関係を浮き彫りにし、内容の妥当性をめぐる議論がいかに複雑であるかを示している。

 文化的、政治的、社会的感受性の高いテーマに関する広告は、公共の場に掲示される場合、特別な配慮を要求されることが多い。公共の場における表現の自由という原則と、一部の社会集団に不快感を与える可能性のあるものを制限するという現実との間の緊張関係を考えれば理解できる。

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