地方私鉄の新車導入相次ぐ 「18m車」以下が枯渇? 背景にある供給不足の現実とは

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先日、東京メトロ日比谷線の03系が、群馬県の上毛電鉄に譲渡されるというニュースがあった。その背景にある問題とは。

新車を導入する伊予鉄道

伊予鉄道のウェブサイト(画像:伊予鉄道)
伊予鉄道のウェブサイト(画像:伊予鉄道)

 伊予鉄道(愛媛県松山市)は、コロナ禍以降の収入減や運転士不足に苦しんでいる。そんななか、郊外電車に新型車両7000系を2編成導入することになった。2025年2月に2編成6両(1編成あたり3両)の車両を導入、2027年まで毎年2編成6両、3年間で6編成18両導入することになる。

・バリアフリー対応の設計
・使用電力を既存車両(700系)に比べ約50%削減
・VVVF制御と回生ブレーキで環境性能向上

と、いまの時代に合った車両となっており、近畿車輛製である。横河原線・高浜線・郡中線と郊外向け路線で運用される。

 伊予鉄道では現在、郊外電車はもと京王初代5000系の700系ともと京王3000系の3000系、自社発注の610系というラインアップとなっている。1960年代から京王電鉄で5000系として使用されていた700系の老朽化により、車両を交代させることになった。このために伊予鉄道は、約39億円を投入する。

 伊予鉄道の車両の多くを供給してきた京王電鉄でも、18m車体の車両はもう使用していない。めぼしい譲渡元では枯渇している状況だ。かといって京急電鉄あたりで譲渡してもらえそうな車両もない。

 ならばいっそのこと自社で新車を導入し大切に使おうか、いまの車両だと環境性能もいいし……ということで導入することになった。実際にこの新車導入には、環境省の国庫補助金を活用する予定である。

 現在は電気代も上がっているため、省電力の車両というのが好まれるという背景もある。冒頭で車両譲渡の例として挙げた上毛電鉄でも、新車導入という案があったほどである。

 しかも伊予鉄道の車両をつくる近畿車輛は、総合車両製作所の「sustina(サスティナ)」のような規格化した車両システムを持っているわけではない。オーダーメードの車両を得意とし、JR西日本の車両を中心に作っているメーカーだ。規格化した車両システムを使わず新車を導入するというのは伊予鉄道では勇気が必要だったと考えられる。

 ただ、18m車体枯渇にともなう地方私鉄新車導入のためには、「sustina」のほかにも川崎車両の「efACE(イーフェース)」などを使用するという手段があり、各種補助金を活用して地方私鉄の輸送改善のためにぜひとも新車を導入してほしい。

 中古車の争奪戦が過熱し、枯渇する状況のなかで、性能のいい新車を安く導入できるように、環境省だけではなく地方自治体や国土交通省も補助金を出せる体制を整えてほしいものである。

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