バイクの「クラッチ操作」革命? ホンダの新機構「イークラッチ」がライダーの左手を解放する

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ホンダはこのたび、新たな二輪車用メカニズム「HONDA E-Clutch」を開発したと発表した。その可能性とは。

市場低迷への挑戦

本田技研工業のウェブサイト(画像:本田技研工業)
本田技研工業のウェブサイト(画像:本田技研工業)

 ホンダのイークラッチの優れているところは、使用するクラッチもトランスミッションも構造が既存のものと同じ点だ。つまり、メインスイッチがオンでも、ライダーが自分の意志でクラッチを操作すれば、システム全体がその操作を優先する。

 メインスイッチがオフであれば、操作性や操作感は従来のクラッチと変わらない。既存のメカニズムを生かしつつ多様性を高めたという意味では、非常に優れたシステムだ。

 一方で、なぜホンダは今、このようなメカニズムを開発したのか。その背景には、技術的な課題というより、販売サイドからの要望があったと推測できる。いい換えれば、モーターサイクル市場全体の長期停滞に対する起死回生策である。

 ここで、過去20年間の日本のモーターサイクル市場規模の推移を振り返ってみたい。2022年の日本のモーターサイクル販売台数は、排気量126cc以上250cc未満の軽二輪車が7万1294台、251cc以上の小型二輪車が10万889台だった。この数字は多いのか少ないのか。端的にいえば、かつての数字とは比較にならないほど激減している。

 統計をとっている全国軽自動車協会連合会の記録によると、いわゆるモーターサイクルブームとともに軽二輪車の販売台数が初めて10万台を超えたのは1982(昭和57)年。前年の9万4571台から13万779台へと、前年比38.3%増という爆発的な伸びを記録した。一方、小型二輪車が初めて10万台を超えたのは1981年。これもモーターサイクルブームによるものだ。

ブームの過熱とともに、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内4メーカーが魅力的な高性能モデルを相次いで市場に投入。軽二輪車の過去最高販売台数は1988年の20万5572台。小型二輪車では1985年の14万3324台が最高である。この時代は国産モーターサイクルの黄金時代であった。

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