大分県はなぜ「東九州新幹線」に執着するのか? 交通研究会発足にみる、九州“取り残され県”の悲哀現実
大分県が広域交通ネットワーク研究会を発足させる。東九州新幹線や豊予海峡ルートを整備し、新国土軸の交通結節点を目指す試みだが、なぜ今こんな動きをするのだろうか。
目指すは新国土軸の交通結節点

こうした状況にもかかわらず、大分県が広域交通ネットワークに執着するのは、
「現在の主要交通網から取り残されている」
という焦りがあるからだ。九州7県で新幹線がないのは大分県と宮崎県だけ。だが、東九州新幹線と豊予海峡ルートが実現すれば、大分県が新たな国土軸で重要な交通結節点の役割を果たすことになる。一発逆転のチャンス到来だ。
現在の整備新幹線計画にゴールが見え始めてきたことも影響している。基本計画のまま積み残されているのは、1972(昭和47)年告示の北海道新幹線のうち札幌~旭川間と、1973年告示の東九州新幹線、四国新幹線など10路線で、格上げが実現するとなると激しい競争が予想される。
このうち、四国新幹線や山陰新幹線、羽越新幹線、奥羽新幹線は整備計画格上げを目指して動いており、東九州新幹線にとって強力なライバルになる。そこで、地道な活動を続け、将来に布石を打っておこうとしているわけだ。
東九州新幹線の沿線4県と北九州市が1月に実施した東九州新幹線整備計画格上げの陳情では、当時の国交省鉄道局長が
「東九州新幹線の重要性を認識している」
と発言したが、前向きな回答を示さなかった。大分県内の活発な動きとは裏腹に、国の動きはまだ見えてこない。大分県にとって先が長く、厳しい挑戦となりそうだ。