大分県はなぜ「東九州新幹線」に執着するのか? 交通研究会発足にみる、九州“取り残され県”の悲哀現実
大分県が広域交通ネットワーク研究会を発足させる。東九州新幹線や豊予海峡ルートを整備し、新国土軸の交通結節点を目指す試みだが、なぜ今こんな動きをするのだろうか。
豊予海峡ルートは本四架橋以上の費用が必要

豊予海峡ルートは大分市、臼杵(うすき)市にまたがる佐賀関半島と愛媛県伊方町の佐田岬半島を陸路で結ぶ構想。大阪市を起点に徳島、香川、愛媛の四国3県を通り、大分市に至る四国新幹線のルートと重なる。こちらも新幹線の基本計画路線のままだ。
大分市の調査によると、実現すれば大分市と愛媛県松山市間が現行の3時間58分から38分(84%減)に短縮される。海上部の長さは約14km。旧日本鉄道建設公団や建設省(現・国交省)は技術的に建設可能とする見方を示したが、橋梁となると中央支間長約3000mに及び、明石海峡大橋の1991mを大きく超える長大橋となる。
トンネルだと水深がネックになる。豊予海峡の最大水深は195m。明石海峡の110mや紀淡海峡の130mをしのぐ。整備計画への格上げ運動で先行する四国新幹線と共同歩調を取れるメリットはあるものの、本四架橋を上回る予算の捻出が必要だ。
大分市企画課は
「県市協調で事業推進を求めたい」
としているが、大分市のセントポルタ中央町商店街で飲食店を営む男性は
「国は財政危機なのに、そんな大金を出してくれるのだろうか。四国へ行く用事もあまりないし」
とピンと来ていない口ぶりだった。