大分県はなぜ「東九州新幹線」に執着するのか? 交通研究会発足にみる、九州“取り残され県”の悲哀現実
大分県が広域交通ネットワーク研究会を発足させる。東九州新幹線や豊予海峡ルートを整備し、新国土軸の交通結節点を目指す試みだが、なぜ今こんな動きをするのだろうか。
東九州新幹線で他の3県と温度差
東九州新幹線は福岡市を起点に大分市、宮崎県宮崎市を経由して鹿児島県鹿児島市へ向かう路線。1973(昭和48)年の運輸省(現・国土交通省)告示で新幹線の基本計画路線となったが、整備計画路線への格上げは実現していない。
ルートは福岡市の博多駅発着という点を除いて、在来線の日豊(にっぽう)本線とほぼ同じ。このルートで建設されれば、博多駅から北九州市の小倉駅まで山陽新幹線と線路を共有する形になる見通し。北九州市を通らず、日田市や由布市を通過する久大本線ルートは、大分県が費用対効果の検討に入っている。
大分県が日豊本線とほぼ同じルートを北陸新幹線と同じ180kmで走行すると仮定し、主要駅間の所要時間を比較したところ、大分~博多間は現行の2時間5分が1時間(52%減)、大分~宮崎間は3時間9分が1時間9分(64%減)に短縮できるとした調査結果が出た。
ただ、大分県が実現に向けて積極的に動く一方で、他県の動きは活発でない。宮崎県総合交通課は
「宮崎県北部と大分県南部は人口が少なく、両県の交流はそれほど活発でない。宮崎県民の目が南九州に向いていることもあり、大分ほど熱心な推進活動ができていない」
と温度差が大きいことを認めている。