アクセル・ブレーキ踏み間違い事故 その原因を「人間のせい」にしている限り、問題は永遠に解決しない

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高齢者・若年者の踏み間違い事故報道。高齢者は機能低下、若年者は未熟が原因だエラー防止には工学的対策が必要である。

自動運転時代はUI改革のチャンス

自動運転のイメージ(画像:写真AC)
自動運転のイメージ(画像:写真AC)

 一方で、現代の自動車産業は、運転の自動化をはじめとした100年に1度の技術革新の最中にあるといわれており、自動運転に移行する過程は

「UIを改良するチャンス」

なのかもしれない。

 自動運転は完全手動のレベル0から完全自動のレベル5までの6段階に分類されており、完全自動運転のレベル5では運転のためのUIは不要である。しかしレベル5の実現はだいぶ先になりそうなので、当分の間は車には何らかのUIを用意する必要がある。現在の車のUIは、レベル0が前提の設計なので、半自動化された車のUIとしては不適切なのかもしれない。

 例えば、条件付き自動運転であるレベル3自動運転バスの実証実験が各地で始まっており、報道でも取り上げられ始めている。

 ニュースでは、ドライバーはハンドルを握ってはいないが、いつでも握れるように空中で腕をプルプルさせている映像を目にすることがある。これはレベル3自動運転が、

「システムの介入要求があったときに、ドライバーがいつでも対応できること」

を求めているためだが、せっかく自動化したのに、自分で運転するよりも腕が疲れそうに見える。ハンドルというUIはレベル3自動運転には向いていないようだ。

 このような状況を解消するために、今後、自動化の進度に応じた適切なUIの提案が求められる可能性がある。このとき、今度は「なし崩し的」にエラーを誘発しやすいUIを採用してしまわないように、人間の特性を踏まえて、良いUIをしっかりと検討していく必要があるだろう。

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