タクシー業界は「あえて」ライドシェアを受け入れるべし ドライバーの“付加価値”向上が先決、「地理試験」廃止議論は本質的でない
斉藤鉄夫国土交通大臣は先日、タクシードライバーの不足問題について、「地理試験」の廃止について言及した。廃止して本当にドライバーが増えるのか。
斉藤大臣の提案
ライドシェア(移動したい人とドライバーをつなぎ、車両輸送をシェアするサービス)の解禁が議論になっているが、業界団体や一部の国会議員は解禁に強く反対しており、タクシードライバーの増加に躍起になっている。
こうしたなか、斉藤鉄夫国土交通大臣は、タクシードライバーの不足問題について、
「地理試験」
について言及した。
地図アプリやカーナビが発達する現在、時代に合った方法で行うべきとして、試験の廃止も含めて早急に検討するとした。業界団体も、人材確保の障壁となるとして試験の廃止を求めている。
目的はドライバーの確保だが、試験廃止で本当に増えるのだろうか。
地理試験の難易度
地理試験は、すべてのタクシードライバーに対して義務付けられているものではない。指定された大都市圏、人口や道路の密度が高く、交通量の多い地域で営業しようとするドライバーだけが試験に合格する必要がある。
試験が必要な地域は次のとおりだ。
・東京23区と武蔵野市、三鷹市
・神奈川県横浜市、川崎市、横須賀市、三浦市
・大阪府大阪市、池田市、箕面市、茨木市、高槻市、摂津市、島本町、豊中市、吹田市、東大阪市、八尾市、守口市、門真市、堺市、高石市、泉大津市、和泉市、忠岡町
試験の正式名称は「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」で、地理に関する試験のほか、法令や接遇に関する試験も併せて実施される。問題内容は、
・通りの名称
・交差点の名称
・地名
・有名な建造物
・公園
・各名所
・旧跡
・駅の場所
など40問出題され、32問以上(正答率80%以上)正解で合格となる。合格率は、
「50%前後」
といわれ、1回で合格するのは難しく、2桁の受験回数でやっと合格を勝ち取る人もいる。