九州北部の経済発展を阻害? 「福岡空港の大混雑」という直視すべき現実
福岡空港は市街地に隣接しており、アクセスは便利だが、運営上の制約も大きい。特に、騒音問題を避けるために運用時間が午前7時から22時までと制限されていることが、しばしば欠点として挙げられる。この制限により、出発遅延や門限を過ぎると飛行機が引き返すなどの問題が頻発している。
北九州の新駅構想
このアクセスを改善する手段が「新幹線」である。北九州市においては、
・日豊(にっぽう)本線に「空港口駅」を新設する案
・新線の建設
というふたつの主要な構想が存在する。
特に新線建設については、空港と小倉駅の間に位置する足立山の下を通るルートが望ましいとされている。この新線には用地買収費がほとんどかからず、10年以内の建設が可能なためだ。北九州市では、この新線に新幹線を導入すれば、
・小倉駅から:最短7分
・博多駅まで:最短23分
で結ぶことができるとしている。
前述のとおり、佐賀空港では国交省が検討した西九州新幹線の「南回りルート」が存在する。国交省の資料によれば、このルートで博多~佐賀間は26分とされている。今回の与党案では、新幹線は佐賀空港に直結しないものの、空港と福岡市を結ぶ有望なアクセス路線が生まれることが期待される。
しかし、佐賀県は、いまだに新幹線を拒否する態度を崩していない。拒否の理由は、
・フル規格新幹線の建設にともなう高額な負担
・赤字が予想される並行在来線の維持
が必要になるためだ。佐賀空港のアクセス向上が、佐賀県の方針変更の十分な理由となるかは疑問だ。
実際、国交省が実施したヒアリングでも、「南回りルート」については否定的な意見が多く寄せられている。というのも、アクセス改善によって空港利用者の増加が見込めるとしても、それは新幹線を利用した福岡市内との往来に限られ、空港周辺のホテルや商業施設の新設、観光客の増加にはつながらないからだ。