九州北部の経済発展を阻害? 「福岡空港の大混雑」という直視すべき現実

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福岡空港は市街地に隣接しており、アクセスは便利だが、運営上の制約も大きい。特に、騒音問題を避けるために運用時間が午前7時から22時までと制限されていることが、しばしば欠点として挙げられる。この制限により、出発遅延や門限を過ぎると飛行機が引き返すなどの問題が頻発している。

福岡空港の混雑の弊害

筑後船小屋駅と佐賀空港の位置関係(画像:OpenStreetMap)
筑後船小屋駅と佐賀空港の位置関係(画像:OpenStreetMap)

 もしも佐賀空港近くを通る新ルート案が実現すれば、佐賀空港は福岡空港(福岡市)を補完する空港として需要が高まると予測される。

 福岡市はアジア主要都市との経済的な結びつきにより、持続的な成長を遂げている。しかし、その発展のボトルネックとなっているのが、

「福岡空港の混雑」

である。

 福岡空港は市街地に隣接しており、アクセスは便利だが、運営上の制約も大きい。特に、騒音問題を避けるために運用時間が午前7時から22時までと制限されていることが、しばしば欠点として挙げられる。この制限により、出発遅延や門限を過ぎると飛行機が引き返すなどの問題が頻発している。

 福岡空港の発着回数は、2012(平成24)年に処理容量の14万5000回を超える15万1000回(104%)に達し、翌2013年には16万7000回(115%)に増加した。この混雑状況を受けて、2016年には新規就航に国土交通大臣の許可が必要な

「混雑空港」

に指定された。これに対処するため、福岡空港では第2滑走路の整備を進めており、2024年の完成を目指している。この整備が完了すれば、就航数の増加が見込まれるが、ふたつの滑走路間隔はわずかに210mであり、同時進入・同時出発(オープンパラレル)運用は不可能である。このため、滑走路1本の時と比べて発着数は1.5倍程度の増加にとどまる。

 2018年時点の計画によると、福岡空港は将来的には国内外合わせて

「100路線」

まで拡大することを目指している。ししかし、24時間運用の羽田空港でさえ105路線である。さまざまな制約のある福岡空港が、それだけの路線を扱えるかどうかは未知数だ。

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