「公共交通の無料化」自治体の挑戦広がる 無人運転でなくても? 見えてきた効果とコスト感

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欧米の一部の国や自治体で広まりつつある、公共交通無料化という動き。実は日本でも取り組みを進めている自治体がいくつかある。全国初の「自動運転の無料バスが走る町」茨城県境町もそのひとつだ。

エレベーターは無人で無料 人が運転するバスでも無料可能?

奥は利根川の堤防。「河岸の駅さかい」前を走る(森口将之撮影)。
奥は利根川の堤防。「河岸の駅さかい」前を走る(森口将之撮影)。

 エレベーターは運賃を徴収しない。設置や運行の費用は、建物を所有する事業者が負担する。境町やBOLDLYは、この方式を公共交通に導入しようとしているのだ。地方は財政面で豊かとは言えないので、国の補助金などを活用するのに加え、目的地の観光施設などが費用を負担することも想定している。

 自動運転を目指す理由のひとつも財政面だ。乗合バス事業の経費の約6割は人件費と言われているからである。しかもエレベーターは、昔はエレベーターガールなどの乗務員がいたものの、現在は無人運転が一般的だ。

 ここまで思い切ったアプローチは、日本ではたしかに異例である。しかし期間限定であれば、無料化を行った自治体はいくつかある。

 たとえば熊本県では2019年9月14日(土)に、県内バス・電車無料の日を実施した。JRや高速バスなどを除く県内の路線バスや路面電車などを、誰でも1日無料で乗車できるというものだった。

 データを集計したところ、当日のバスや路面電車の利用者数は、いつもの土曜日の2.5倍になったそうだ。バス事業者の計算では、1世帯あたり月1000円を負担してもらえば、県内の路線バスは無料にできるという結果が出た。

 一方、2021年11月28日(日)と12月10日(金)には、岡山市が同様の取り組みを行った。こちらはまだ実施直後なのでデータは出ていないが、同様の数字が出てきそうな感じがする。

 前回の記事(「『公共交通無料」は現実的なのか? 人口&税収増の都市も 狙いは回遊促進だけにあらず』2021.11.19)でも書いたように、日本の公共交通は多くが民間企業の運営なので、税金や補助金がベースになる欧米に比べると無料化のハードルは高い。それでも近年、いくつかの自治体で挑戦が始まっている。

 カーボンニュートラルやSDGsというテーマを考えれば、都市の移動はなるべく公共交通が負担したほうがいい。その動きを国や自治体が支えるというのは、ある意味で当然のことではないかと筆者は思いつつある。

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