鹿児島県「桜島フェリー」大幅運賃値上げに見る、地方生活路線の苦難 今後の活路はどこにあるのか?
人口減少による交通インフラの維持が課題となるなか、鹿児島県の生活路線である「桜島フェリー」が大幅な運賃値上げを余儀なくされた。その背景にあるものとは。
過去の経済的成功

人口減少による交通インフラの維持が課題となるなか、鹿児島県の生活路線である「桜島フェリー」が大幅な運賃値上げを余儀なくされた。
大人運賃は200円から250円に、4m以上5m未満の普通車は1950円から2350円に値上げされ、長年維持されてきた低運賃からの転換が図られた。同路線が値上げに踏み切った背景には、どのような事情があるのだろうか。
まず、桜島フェリーの歴史と運賃維持への取り組みについて説明したい。
桜島フェリーは、鹿児島市の市街地と対岸の桜島を結ぶ航路である。もともとは1934(昭和9)年、旧西桜島村(1973年の町制施行で桜島町と改称)が民間の木造船14隻を譲り受け、定期航路として開設したものだった。当初の運賃は15銭で、特産品の桜島大根を運ぶ航路としてもにぎわった。
町営時代は町の大きな収入源となり、2001(平成13)年には6500万円の黒字を記録した。乗客数は512万人で、全国の旅客船輸送の4.6%を占め、車両数は159万台で、9.4%のシェアを占めている。いずれも国内最高の数字である。