トヨタが北米EVでテスラ規格採用 ネット上の「テスラの軍門に下った」という指摘は本当か?
10月20日、トヨタ自動車が2025年からケンタッキー州の工場で生産するEVにNACS方式を採用すると表明した。トヨタはテスラの軍門に下ったのか。
トヨタの充電戦略

では、トヨタが今後も日本と中国でチャデモとチャオジを使い続けるのか、という疑問が残る。
トヨタが発表したプレスリリースには、
「多様な選択肢を提供するという電動化戦略に則り、充電についても、それぞれの地域にあったサービスを提供し、自宅でも公共の場でも不自由のない充電体験を通じ、お客様の利便性向上を目指してまいります」
とある。このプレスリリースをそのまま解釈すれば、トヨタは将来生産するEVの充電規格について
・顧客の利便性を向上させるため、多様な選択肢を提供する
・各地域で普及している充電規格を提供する
となり、北米ではNACSを、日本と中国ではチャデモとチャオジを採用することで、地域ごとにシステムを最適化するようだ。なお、トヨタは日本国内では
・プリウスPHV
・BZ4X(EV)
などでチャデモを採用しており、今後発売されるEVも同様となる見通しだ。
こうした流れを踏まえると、トヨタがNACSを採用したのは、前述した「多様な選択肢を提供し、お客様の利便性向上に努める」ことに基づいていると思われ、テスラの軍門に下ったという臆測は
「見当違い」
のようだ。
直近では、中国のEVメーカーが東南アジア諸国連合(ASEAN)地域でのEV販売や現地生産を加速させており、チャデモやチャオジのASEAN地域への普及が期待されている。
いずれにせよ、EVの充電規格が標準化されるまでは、トヨタに限らず自動車メーカーは「地域ごとの最適化」に基づく充電規格への対応を迫られることになる。