トヨタが北米EVでテスラ規格採用 ネット上の「テスラの軍門に下った」という指摘は本当か?

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10月20日、トヨタ自動車が2025年からケンタッキー州の工場で生産するEVにNACS方式を採用すると表明した。トヨタはテスラの軍門に下ったのか。

地域別のEV充電規格

スーパーチャージャー(画像:テスラ)
スーパーチャージャー(画像:テスラ)

 EV充電規格は国際規格として標準化されつつある段階なので、いわば地域によって規格が異なる。

 EV充電規格は、2010年代初頭にチャデモが主導して日本が世界に先駆けて策定したが、それを受けて欧州の自動車メーカーがCCSを策定し、フォルクスワーゲン(VW)グループ、メルセデス・ベンツ、BMW、ステランティスなどが導入を開始した。そのため、現在も欧州ではCCS2が主流となっている。

 そして北米では、米国の自動車メーカーがVWやBMWに追随する形でCCS1が普及したが、最近はNACSへの移行が加速しており、NACSへの規格統一が近づいているとささやかれている。

 では、日本発で世界に先駆けて標準化したチャデモはどうなるのか。チャデモは交流電圧の異なる世界各国で使えるなど、安全性を重視した充電規格だ。

 2018年頃までは世界シェア22%を占め、日産リーフなどチャデモ対応車も多く、世界で最も充電ポイントが多かった。しかし、2020年代以降、日本の自動車メーカーのEVシフトの遅れが世界的な普及を阻み、日本だけの規格になりかけている。

 チャデモにとっての救いは、中国の国家規格であるGB/Tとの規格統一を進めていることであり、日中が共同開発している次世代超高出力充電規格「ChaoJi(チャオジ)」(GB/Tの6倍以上の充電スピード)は、このほど中国の国家規格として承認された。日本と中国におけるチャデモとチャオジの将来は、広範囲に及ぶことが予想される。

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