トヨタが北米EVでテスラ規格採用 ネット上の「テスラの軍門に下った」という指摘は本当か?
トヨタとテスラの経緯
2023年9月7日、ホンダが北米の電気自動車(EV)急速充電規格に米テスラの「NACS(North American Charging Standard、北米充電規格)」を2025年から採用すると発表した。
それから1か月もたたないうちに、ヒョンデやBMWが相次いで同方式の採用を発表。そして10月20日には、トヨタ自動車が2025年からケンタッキー州の工場で生産するEVにNACS方式を採用すると表明した。
トヨタとテスラは2010年に資本・業務提携し、テスラのリチウムイオン電池を採用したEV「RAV4」を販売していたが振るわず、2016年末までにトヨタはテスラ株を売却し、提携を解消していた。トヨタにとっては、NACSの採用により、再びテスラとの関係を持つことになった。インターネット上には今回の発表について賛同する声があった一方、
「トヨタはテスラの軍門に下った」
といったような書き込みも見られた。
トヨタは、日産、ホンダに続き、日本の自動車メーカーとしてNACSを採用したが、これまでは「CCS(Combined Charging System)」を採用する方針であったため、CCS規格を採用するトヨタ車やレクサス車を所有またはリースしている顧客に対しては、2025年以降、NACSでの充電を可能にするアダプターを提供する予定である。
トヨタがNACSを採用した理由は、ホンダと同様、
・高い商品性。
・テスラによるスーパーチャージャー網の拡大
などを考慮し、利用者の利便性を考慮して採用を決めたと見られる。
一方、テスラの急速充電器を通じて、EVユーザーの走行状況や充電履歴などの車両情報を入手できるため、NACSを採用する他の自動車メーカーも、車両情報がテスラの車両開発に利用されることへの懸念を強めている。
昨今、自動車メーカーによるNACSの採用が進み、テスラ規格の勢力が拡大し続けているが、なぜトヨタはその決断に踏み切ったのか、その背景を探る。
また、日に日に勢いを増すNACS陣営に対して、CCSやCHAdeMO(チャデモ)といった充電規格は“負け組”になるのか、という疑問についても検証する。トヨタが日本でチャデモを継続していくのかも含めて、今回整理しておきたい。