“撮り鉄問題”海外ではどう? トラブル続発は日本特有か 事業者とファンの付き合い方

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一部の鉄道ファンの行き過ぎた行為が目立ち、社会問題化している“撮り鉄”のマナー。これは日本だけの問題なのか。海外ではあまり表だって取り沙汰されなかった鉄道ファンの暴走行為が、大きく報じられる事態も起こっている。

海外ではまだ和気あいあい?

撮影のために線路を歩くファン。もちろん海外でも線路を歩くことは好ましくないが、日本ほど大きな騒ぎにはならない。チェコで(橋爪智之撮影)。
撮影のために線路を歩くファン。もちろん海外でも線路を歩くことは好ましくないが、日本ほど大きな騒ぎにはならない。チェコで(橋爪智之撮影)。

 撮り鉄トラブルが増加している原因の一つとして、インターネットの誕生とSNSの普及により、アマチュアによる作品発表の場が増えたことで、他人との差を付けるため過激な行動へと走る人が増えたことが言われている。これは日本に限った話ではなく、海外でも同じような状況で、撮影地へ向かうため、線路を横断したり列車へ近付いたりというシーンをよく見かける。

 こんなことを今の日本ですれば、ニュースで取り上げられるほど大事になる場合もある。しかし、少なくとも昭和の頃までは、日本でも比較的色々なことが許されていて、駅や車庫の中へ入れてもらって写真を撮影させてもらえたり、停車している車両へ乗せてもらったり、ということが簡単にできたし、線路際に柵やフェンスがなく、比較的線路の近くまで寄って撮影することもできた。しかし近年は、安全面や社内コンプライアンスが厳しくなり、それまで目をつむってきたことが許されない世の中となった。

 ところが海外の場合は、線路内や鉄道施設への立ち入りについて日本ほど厳しくなく、まだ比較的寛容な国や地域も多い。大きな都市のターミナル駅でも、線路へ降りて撮影をしている人を今もたまに見かけるし、駅や車庫といった施設も、場所によっては注意書きがなく、どこまで立ち入って良いのか判断に迷うことがある。通りすがる鉄道職員も、別に注意するわけではなく、何を撮影しているのかと世間話になることもある。

 もっとも海外においても、とりわけ先進国と呼ばれる国や地域は、年々こうした規律に対して厳しくなっており、最近は日本と同じように簡単に施設内へ立ち入ることはできなくなりつつある。そのための監視カメラや有刺鉄線の設置といった対策も進められている。

 その一方で、鉄道ファン向けのイベントなどでは、線路へ安全に下りられるようなスペースを設けたり、撮影がしやすい場所に列車を留置したりといった工夫も見られる。

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