タクシードライバーに“二種免許”は本当に必要か? 「ライドシェア解禁」「普通免許タクシー」議論で改めて問う

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福岡市などは、普通免許でタクシーが運転できる制度の初導入を目指し、特区の設置を国に要望する方向で調整を進めている。乗客を乗せるタクシーを運転するには「第二種運転免許」が必要という常識さえ形骸化しようとしている。

「第二種運転免許」の新設

タクシー(画像:写真AC)
タクシー(画像:写真AC)

 戦後、多くの産業で合従連衡を余儀なくされた企業が解体に向かった。しかし、タクシー業界では解体は遅々として進まず、寡占状態が続いた。また、個人タクシー制度は廃止されたままで、1959(昭和34)年まで復活しなかった。その結果、タクシードライバーは極めて劣悪な労働条件にさらされた。特に劣悪だったのは賃金である。

 タクシードライバーの賃金体系はほとんど歩合制だった。過剰なノルマが課され続け、ノルマが達成されなければ歩合給をカットするという慣行があった。さらに、運賃は会社によって異なり、値下げ競争があった。その結果、多くのタクシードライバーは生活のために無謀な運転をせざるを得なくなった。

 神風タクシーの違反や事故による社会問題を受け、1955年、内閣は交通事故防止対策本部を設置し、同本部は「交通事故防止対策要綱」を策定し、次の事項を決定した。

「旅客用自動車の運転資格 上級免許制度を設定し、旅客自動車運転手については、運転経験期間を延長し、運転手の年齢の引き上げを行うこと」

 この決定により、運転免許に「第二種運転免許」が新設され、旅客営業が可能となった。この段階では、取得資格は、

・運転者が21歳以上である
・普通自動車、けん引自動車、小型四輪車、自動三輪車のいずれかの免許を所持している
・3年以上の運転経験がある

ことを条件としていた。この要件は、1960年の道路交通法制定で再び資格要件として明記された。

 この改革によって、神風タクシーが完全になくなったわけではないが、タクシーやバスのプロドライバーには一定の技能が求められるようになり、違法行為を繰り返すドライバーは排除された。

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