福岡空港ふたたび「門限」でマニラとんぼ返り! 乗客は11時間カンヅメ、もはや“金銭補償”が必要か

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最近、福岡空港の「門限」問題が頻繁に報道されている。福岡空港では、22時までに着陸できない便は着陸を許可されず、どこか別の空港に回されるか、最悪、出発地に引き返さなければならない。これが「門限」問題である。

今回の「落とし穴」

福岡空港(画像:写真AC)
福岡空港(画像:写真AC)

 北九州空港をめぐっては、前述のJAL便の件でも、なぜ福岡空港の代替空港として着陸しなかったのか、ということが指摘された。こうした問題提起を受け、北九州空港での受け入れは、福岡空港の「門限」対策として検討され、実行に移された。

 しかし、今回予想外だったのは、対象便が「国際線」だったことだ。出入国する旅客は、空路であれ海路であれ、CIQ(税関・出入国管理・検疫)の検査を受けなければならない。観光客が急増しているとはいえ、

・違法薬物の密輸防止
・テロ対策
・検疫

の徹底は重要である。

 一方、税関職員、入国管理官、検疫官はいずれも国家公務員(それぞれ財務省、法務省、厚生労働省の管轄)である。取り扱い対象が増えたからといって、簡単に職員数を増やすことはできない。政府の予算制約が厳しいからである。

 また、国際線は地方空港に常時飛んでくるとは限らない。そのため、CIQの職員を有効に活用するために、港と空港での業務を兼務させる場合もある。つまり、非常にタイトな人員体制で検査が行われているのである。そのため、今回のように急な出入国手続きの要請に応じることができない。これが今回の落とし穴だった。

 では、福岡空港の「門限」運用に例外を設けるべきか。例えば、海外では罰金を支払えば着陸を認めるケースもあるが、これでは航空会社が最初から罰金を織り込んだ「門限破り」を前提に運航プランを立てる可能性が出てくる。

 その場合、罰金分のコストが航空運賃という形で乗客に転嫁され、乗客は不当なコスト負担を強いられることになりかねない。「門限破り」の例外は人命に関わるような極めて特殊なケースに限定するのが妥当であろう。

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