JAL代替着陸で大注目の「北九州空港」 “門限”がんじがらめの福岡空港尻目に、存在感爆上がりのチャンスだ
取りあえずの成果
福岡空港の門限(22時以降は着陸禁止)による代替着陸(ダイバート)先として、6月11日、北九州空港が初めて利用された。利用したのは、JALの羽田発福岡行き331便(乗客280人)。2月の“迷走”を考慮に入れれば、最寄りの空港に着陸できるようになったことは、取りあえずの成果といえる。
“迷走”については、筆者(戸崎肇、経済学者)が当媒体に書いた
・JAL機の福岡空港「門限破り」 既出報道に欠けていた「乗客の権利」という視座、航空需要回復の今後このままでいいのか?(2023年3月11日配信)
・JAL機の福岡空港「門限」 時間過ぎたら“北九州着陸”は賢明な判断か? バス・タクシー緊急確保の高すぎる壁とは(同月13日配信)
を参照されたい。
福岡市内やその近郊に住んでいる人は、航空会社が用意したバスで北九州空港から福岡市内まで移動し、翌日の勤務などに差し支えなかったのではないか。
しかし、福岡空港から鉄道やバスで移動する地域に住んでいる人は、航空会社が料金を負担してタクシーで送らない限り、自ら高いタクシー代を負担して帰宅するか、航空会社の負担で宿泊することになる。結果、大幅な時間の無駄が生じる。航空会社にとっても、バスやタクシー、宿泊施設の手配などで膨大な出費を強いられる。
求められる的確なハンドリング
そもそも、消費者は時間価値(時間を金銭の価値に変えたもの)を高めるために航空機は利用し、そのために高いお金を払っている。
そう考えれば、気象条件でやむを得ない場合を除き、ダイバートを行ってはならない。もちろん、航空会社が独自に天気予報を精査し、飛ばさない判断も必要である。
そのためには、出発地の空港におけるハンドリングを的確に行う必要がある。特に、最終便には注意して遅延対策を考慮しなければならない。具体的には、
・チェックインの締め切り時刻を早める
・搭乗を早める
などである。また、最終便に遅れが生じないよう、使用機材が遅れて到着しないよう、余裕を持ってダイヤを組むなどの配慮も求められる。