東急東横線「Qシート」開始 ワンコイン有料座席は“応急処置”サービスか? 今後問われる沿線人口確保という本質

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8月10日、東急電鉄は東横線に新たな有料座席指定サービス「Qシート」を開始した。その可能性とは。

収入減少を補うサービス

「Qシート」(4・5号車)外観(画像:東急電鉄)
「Qシート」(4・5号車)外観(画像:東急電鉄)

 東急電鉄は2023年8月10日、東横線に新たな有料座席指定サービス「Qシート」を開始した。有料座席指定サービスは、新型コロナウイルスによる鉄道収入の減少を補う一環として、鉄道各社が導入している。

 京王電鉄など、他の各社も同様のサービスを導入しており、ラッシュ時でも座席を確保できることから、利用者の評判も良く、今後の鉄道業界の新たな潮流として注目されている。

 減収に直面する鉄道業界にとって、有料座席指定サービスが新たな方向性を示すかどうかに注目が集まっている。

コロナ禍以前から存在したサービス

「Qシート」(4・5号車)車両設備 (画像:東急電鉄)
「Qシート」(4・5号車)車両設備 (画像:東急電鉄)

 通勤・通学に使われる列車に有料の指定席を設ける試みは、コロナ禍以前から始まっていた。この試みは、

「沿線人口の減少」

により鉄道収入が行き詰まるという懸念から始まった。コロナ禍は、こうした試みにさらなる弾みをつけた。

 5月、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が「5類」に移行し、規制は緩和されたが、鉄道会社の収入は頭打ちになった。ここ数年、テレワークを基本とし、週に数日しか出勤しない企業が増えたため、定期券利用者が回復していないからだ。

 ここ数年、新型コロナウイルス感染拡大が鉄道会社に与えた傷は大きい。例えば東急は、最も深刻な時期に定期旅客数が40%、定期外旅客数が70%減少した。当然採算が合わず、電車を走らせるだけで1日数億円が消えていくのだ。

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