「私は過大評価されている」 優秀な女性社員の自己肯定感を蝕む「インポスター症候群」という現代病理
女性の活躍が進まないのは、心理的要因によるものではないかと考えられている。そのひとつとして指摘されているのが、「インポスター症候群」だ。
女性の地位向上に関する社会・経済界の目標
政府が「2030年までに社会のあらゆる分野で指導的地位(≒管理職など)に女性が占める割合が30%になるように」と定めた女性管理職比率の数値目標のことを「203030」という。
この30%という数字は「クリティカル・マス」と呼ばれ、マイノリティーがマイノリティーでなくなるために最低限必要な割合といわれている。
マイノリティーであることを理由に女性が能力を発揮できないことがないようにするための目標として設定された数字である。
経団連は2020年の「新成長戦略」で、2030年までに女性役員比率を30%以上にすることを目指す「2030年30%へのチャレンジ」を宣言した。
このように、女性の活躍にはいくつかの目標がある。
厳しい自動車業界の進捗状況
しかし、現実にはこうした成果はまだ出ていない。
厚生労働省の「雇用均等基本調査」(2022年度)によると、管理職に占める女性の割合は、部長相当職で8.0%(2021年度7.8%)、課長相当職で11.6%(2021年度10.7%)、係長相当職で18.7%(2022年度18.8%)となっており、目標の半分にも満たない。
自動車メーカーに限れば、状況はさらに厳しい。各社が発表している最新の女性管理職比率は、
・トヨタ自動車:3.4%(2023年)
・ホンダ:2.4%(2023年)
・日産:10.3%(2022年)
などとなっている。
日産は社長直轄組織であるDEI推進室(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の活動で一定の成果を上げているが、それでも他産業に比べれば決して高い水準ではない。