フォードも依存、中国・車載電池最大手「CATL」はなぜ圧倒的に強いのか? バイデン政権の対中軽減策も、もはや形骸化か【連載】方法としてのアジアンモビリティ(4)

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急速に変化・成長する経済圏として、世界的に注目されているアジア。この地域発のモビリティ・アプローチが、今後の経済において重要な役割を果たすことはいうまでもない。本連載では、アジアにおけるモビリティに焦点を当て、その隆盛に迫る。

巨大なR&D投資

上海モーターショーに初出展したCATL(画像:CATL)
上海モーターショーに初出展したCATL(画像:CATL)

 CATLの強みは、競合他社を上回る研究開発(R&D)投資だ。ジェトロによると、2022年の投資額は前年比2倍の155億1045万元に上る。R&D人員数は同61.9%増の1万6322人に拡大している。

 しかも、CATLは自主的な研究開発を推進すると同時に、国内外の有名企業、大学、研究機関との緊密な協力関係を構築してきた。CATLは研究開発人員に対して、業界平均より約4割も高い給与水準を設けているという。

 こうした研究開発に支えられて、CATLは新たな技術開発でも先手を打とうとしている。例えばCATLは、4月19日に上海国際自動車工業展覧会(上海モーターショー2023)で、エネルギー密度が

「最大500Wh/kg」

と非常に高い「凝聚態電池(Condensed Battery)」を発表している。

 CATLのもうひとつの強みは、電池製造コストをある程度コントロールすることができることだ。それは、材料資源の確保に余念がなく取り組んできたからだ。もともと、世界のコバルト、ニッケルの材料の精製拠点の大部分は中国国内にあるが、CATLは中国以外でも材料資源の確保に動いてきた。

 CATLは2021年9月、アルゼンチンの2か所でリチウム塩湖の開発を手掛けている、カナダのミレニアル・リチウムを買収している。しかも、CATLは同時期に、世界最大級のリチウム資源開発プロジェクトが進む、コンゴのマノノ鉱山の開発権の一部を取得している。

 CATLは、2022年4月には、インドネシア国営企業4社の連合で設立されたインドネシア・バッテリー・コーポレーション、ニッケル資源などの開発を行うアネカ・タンバンとの間で、ニッケルの採掘・精錬を含むEV用バッテリーの統合事業を行うことで合意した。さらに2023年6月には、CATLはボリビア政府との間で、同国の大規模なリチウム資源開発を支援する14億ドルの投資で合意したことを確認している。

 CATLにこのような強みがあるからこそ、フォードも同社に依存せざるを得ないのだ。フォードとCATLの工場建設計画が実現すれば、いずれバイデン政権が掲げる対中依存軽減策も形骸化するかもしれない。

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