フォードも依存、中国・車載電池最大手「CATL」はなぜ圧倒的に強いのか? バイデン政権の対中軽減策も、もはや形骸化か【連載】方法としてのアジアンモビリティ(4)
- キーワード :
- 自動車, EV, 電池, CATL, 方法としてのアジアンモビリティ
フォード・CATL提携の波紋
電気自動車(EV)向け車載電池で世界最大手、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)の勢いが止まらない。8月2日に発表された2023年版世界企業番付「フォーチュングローバル500」で292位と、初めてランク入りを果たした。
CATLは車載電池のグルーバル市場で、首位の座を6年連続で維持している。韓国の市場調査会社SNEリサーチによると、2022年にCATLは
「37%」
のシェアを獲得している。現在、米国は車載電池における対中依存拡大を警戒しているが、米国の自動車メーカーは中国の車載電池なしには、もはや立ちいかかなくなりつつある。
CATLとの提携を模索してきたフォードは、2月に35億ドルを投じてCATLと共同でミシガン州に電池工場を建設し、リン酸鉄リチウム(LFP)電池を生産する計画を発表した。フォードが工場を100%所有し、CATLが製造技術を提供して工場の運営に当たるという形態が検討されている。こうした形態によって、北米で最終組み立てした電気自動車にだけ税制優遇を与えるインフレ抑制法の支援も受けられるようになるという。
しかし、このフォードの計画に対して米国内の一部に強い反発がある。当初、バージニア州は工場の建設候補地となっていたが、同州のヤンキン知事は国家安全保障の懸念を理由に、入札からの撤退を決めた。
フォードとCATLがミシガン州での工場建設で合意すると、共和党のマルコ・ルビオ上院議員は対米外国投資委員会に対して、この計画を審査するよう要請した。
さらに、米下院中国特別委員会のマイク・ギャラガー委員長(共和党)ら4人の議員が、フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)と会談し、EV用バッテリーの対中依存度を減らすよう要請している。こうしたなかで、7月には米下院の歳入委員会と中国特別委員会が、フォードとCATLの提携を調査していると表明した。
ところが、フォードだけではなく、米国のEVメーカーのテスラまた、CATLと提携して米国国内に工場を建設することを検討していると報じられている。