鉄道会社・車両メーカーのつながり深い日本 ヨーロッパも同様? 10年が読めない「鉄道メーカー市場」を考える
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特定の鉄道会社とのつながりが深い日本の鉄道車両メーカー。欧州市場の現況はどうか。
鉄道会社と車両メーカーの強固なつながり

日本の鉄道車両メーカーは、基本的に特定の鉄道会社とのつながりが深い会社が多い。よほど、契約上の大きなトラブルでも起こしたり、メーカーそのものが消滅したりしない限り、各鉄道会社は継続的に同じメーカーへ車両を発注する傾向が強い。
鉄道会社側にとっては同じメーカーから新車を導入することによって規格や構造が同じ車両に統一することができ、保守管理がしやすいというメリットがあるため、当然の結果といえるだろう。
また、なかにはメーカーそのものが鉄道会社系列の場合もある。例えば愛知県名古屋市に本拠地を構える日本車輌製造は、現在はJR東海の連結子会社となっており、一部を除いたJR東海向けの大半の車両を製造しているほか、民営、公営を問わず多くの鉄道会社の車両を製造している。
総合車両製作所(神奈川県横浜市)は、もともと東京急行電鉄の子会社であった東急車輛製造をJR東日本へ事業譲渡し、現在はJR東日本の完全子会社となって、同社のみならず、かつての親会社だった東急電鉄を筆頭に、多くの鉄道会社へ車両を納入している。近畿車輌も近鉄グループのメーカーだ。
川崎車両(東京都港区)や日立製作所(千代田区)は、鉄道会社との関係がない、完全独立系のメーカーであるが、同様に多くの鉄道会社から注文を受けている。この2社製の車両を好む鉄道会社も多い。
日本市場は、基本的にごく限られた小規模な市場で、規格も類似こそしていても各鉄道で仕様が細かく異なるため、鉄道会社とメーカーの結びつきは今も昔も非常に強い。見方を変えれば、日本以外の外国メーカーが今から参入するのは困難な、非常に特殊な市場でもある。