ホンダ・トヨタの「働き方改革」を比較してみた 「自動車メーカー = 男社会」の構図はいつ変わるのか?

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国の方針と時代の流れを受け、自動車メーカーでも働き方改革やワークライフバランスの取り組みを進めている。これらはジェンダー問題と深く関連しているが、男性従業員比率の高い業界ではどうなのか。

トヨタの現況

2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタ自動車のロゴマーク(画像:AFP=時事)
2022年10月31日撮影、東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタ自動車のロゴマーク(画像:AFP=時事)

 トヨタは、2023年6月から7月にかけて(開始時期は職場による)、時短勤務を大きく拡大した。子どもが18歳になるまで時短勤務が可能で、正規社員もパートタイムなどの非正規労働者も区別なく利用可能となっている。

 これまで、時短勤務の利用は、正社員の場合は子どもが小学4年生まで、非正規労働者の場合は子どもが3歳になるまで可能だった。

 柔軟な働き方は従業員の希望が多く、2023年の春季労使交渉でも挙げられていた。会社が優秀な従業員を確保すべく、従業員に寄り添った形だ。

 従業員の世代が上がれば、介護理由による時短勤務の需要が上がるが、こちらも拡充も検討中である。

 在宅勤務制度に関しては、以前から拡充しており、コロナ禍に5万人の社員が在宅勤務をした結果、生産性が高まり、働きやすくなったという判断から、ポストコロナでも在宅勤務を継続する。

 育児・介護などの事由を問わない。2025年時点で全社員(生産職を除く時間管理対象者)の50%以上が在宅勤務やテレワークを利用することを目標としている。

 配偶者の転勤などで転居した場合も、職種次第では在宅勤務の形で仕事が続けられる。必要なときに出張の形で出社すればいい。

男性の育休取得率「約4割」

在宅勤務のイメージ(画像:写真AC)
在宅勤務のイメージ(画像:写真AC)

 一方、在宅勤務制度の対象でないシフト制の職場では、子どもが小学4年生まで、固定で6時半~15時の勤務となる勤務制度が利用できる。

 育児休業は子どもが2歳に満たない時期まで申請できるが、2023年3月期の男性の育児休業取得率は

「38.0%」

にとどまった。

 賃金面でも配慮があり、何かとお金がかる子育て世代の賃金引き上げを行う賃金カーブに変更したのも大きい。

 事業内託児所では、交代制勤務の社員にも対応できるよう早朝5時半から深夜2時半までと開園時間が長時間であるのが特長だ。

 不妊治療については、仕事との両立支援として年間5日までの特別休暇と2年の休職を認めている。なお、年次有給休暇は、年1回以上3連休で有給休暇取得するよう推奨する。

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