駅で食べる「立ち食いそば」は、なぜあんなにうまいのか? 数値データから分析する【短期連載】令和立ち食いそばビジネス考(2)
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「駅で食べる立ち食いそばは、なぜあんなにもうまいのか?」という素朴な疑問を、定性的(数値化できない要素)な目線、定量的(数値化できる要素)な目線、経済的な目線から解き明かしていく。
つゆのうま味と豊富な種類

そもそも、私たちはなぜつゆをおいしいと感じるのだろうか。
今日では、科学的な研究の成果により私たちがおいしいと感じるうま味物質が明らかになっている。代表的なうま味成分は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸である。食品により、うま味をつかさどる物質の種類が異なっているのは興味深い。
日本うま味調味料協会(東京都中央区)のウェブサイトには、次の数値が具体的に記されている。単位はmg/100gである(うま味インフォメーションセンター調べ)。
●グルタミン酸
・こんぶ(200~3400)
・チーズ(180~2220)
・白菜(40~100)
・トマト(100~250)
・アスパラ(30~50)
・ブロッコリー(30~60)
・玉ねぎ(20~50)
・醤油(400~1700)
・みそ(100~700)
●イノシン酸
・鶏肉(150~230)
・牛肉(80)
・カツオ(130~270)
・かつお節(470~700)
・豚肉(130~230)
●グアニル酸
・干ししいたけ(150)
・乾燥ボルチーニ(10)
うま味成分は、単独で使用するのではなく、混ぜ合わせることで、うま味の相乗効果により飛躍的においしく感じるようになる。つまり、かつお節でとっただしに醤油を加えてつゆを作ると、自然とグルタミン酸とイノシン酸が交わることとなる。
私たちの祖先は、うま味成分が科学的に解き明かされる前から、どうすればおいしくなるのかを経験的に体得していたのだ。