駅で食べる「立ち食いそば」は、なぜあんなにうまいのか? 数値データから分析する【短期連載】令和立ち食いそばビジネス考(2)

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「駅で食べる立ち食いそばは、なぜあんなにもうまいのか?」という素朴な疑問を、定性的(数値化できない要素)な目線、定量的(数値化できる要素)な目線、経済的な目線から解き明かしていく。

そば・うどんと広がる麺の世界

駅のそば屋から見る風景(画像:写真AC)
駅のそば屋から見る風景(画像:写真AC)

 麺は、そば粉が原料のそば、小麦粉が原料のうどん、きしめん、中華そばに大きく分けられる。そばの醍醐味(だいごみ)は、香り、のど越し、食感だろう。うどんやきしめんは歯ごたえや小麦粉の味、中華そばは歯ごたえと独特の香りにそそられる。

 そば粉系と小麦粉系の大きな違いは、麺のコシを生み出すグルテンにある。

 そば粉には、グルテンを生み出すグルアジンとグルテニンというたんぱく質がないため、そば粉だけでは、うどんのようなコシを生み出しにくいのだ。

 とはいえ、そば粉100%の十割そばであれば、そばならではの香りと食感がある。少しコシや歯ごたえが欲しければ、小麦粉2割、そば粉8割の二八そばもよいだろう。さらには、限りなくそば粉を少なくした、そばと名乗ってよいのかどうか微妙なラインのそばもあるが、これはこれでひとつの味として成立している。

 小麦粉系では、形状により細麺、太麺のうどん、平打ちのきしめんなどがある。さらには、より歯ごたえやコシを楽しむ讃岐うどん、これとは反対にコシのない伊勢うどんとバラエティーに富んでいる。ちなみに、近鉄上本町駅(大阪府大阪市)構内にある上六庵では、駅の立ち食いそばの店舗でありながら伊勢うどんが味わえる。

 中華そばの麺を使用した駅の立ち食いそばは、姫路駅の「まねきのえきそば」が有名だ。最近では、新大阪駅の浪速そばが提供している新大阪そばも、変わった組み合わせとして注目されている。筆者(ネルソン三浦、フリーライター)も、和風だしに中華そばの麺を入れて、自宅にいながら旅行気分を味わっている。

麺ゆで時間の違い

駅の立ち食いそばの看板(画像:写真AC)
駅の立ち食いそばの看板(画像:写真AC)

 このほか麺について話すとすれば、粉や形状のほか、生麺・ゆで麺の違いもある。

 駅の立ち食いそばは、特に通勤時間帯だと「早さ」が求められており、ゆで麺が主流だった。ゆで麺は、お店でゆでているのではなく、揚げざるに入れて温めてほぐしているだけであり、

「10秒程度」

で出来上がる。最近では、製麺技術の向上やグルメ志向などを背景に、生そばを出すお店が増えているそうだ。

 生そばをゆでる場合、2分から2分半必要であったが、製法により

「約1分」

まで短縮されたそばもある。さすがに、生麺をゆでるのに10分以上要するうどんは、引き続きゆで麺の独壇場だろう。

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