駅で食べる「立ち食いそば」は、なぜあんなにうまいのか? 数値データから分析する【短期連載】令和立ち食いそばビジネス考(2)

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「駅で食べる立ち食いそばは、なぜあんなにもうまいのか?」という素朴な疑問を、定性的(数値化できない要素)な目線、定量的(数値化できる要素)な目線、経済的な目線から解き明かしていく。

つゆのうま味と豊富な種類

イノシン酸の含有量。単位はmg/100g。数値は最大値と最小値の平均(画像:日本うま味調味料協会のデータを基にMerkmal編集部で作成)
イノシン酸の含有量。単位はmg/100g。数値は最大値と最小値の平均(画像:日本うま味調味料協会のデータを基にMerkmal編集部で作成)

 一般的に、

・関東:かつおだし
・関西:昆布だし

とベースが異なっているが、その理由のひとつに大昔の物流手段が関係している。

 昆布は、北海道および東北の太平洋岸で生産され、その多くは日本海回りで関西に運ばれていた。室町時代は敦賀・小浜経由で京都に、江戸時代には日本海・瀬戸内経由で大阪に入っていた。このような背景から、北陸や関西地域を中心として昆布文化が根付いたのだ。

 うま味成分が解明され、かつ物流が大きく変化した現代では、歴史的経緯や地域の味の嗜好を大切にしつつ、昆布・かつお節、醤油、みりん、塩、砂糖、うま味調味料などさまざまな材料を組み合わせて、店舗独自の味を生み出しているといえる。

 もちろん、昆布・かつお節ベースに加え、いりこなどの魚介類を加えた地方ならではの味もあり、旅の楽しみに華を添えている。

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