「名古屋走り」「松本走り」「山梨ルール」 危険な“ご当地ルール”はなぜ無くならないのか、という根本疑問

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交通ルールは道路交通法によって定められている。そのため、全国どこに行っても変わることはない。しかし、車を使って旅行・観光をしていると、それぞれの地域では独自ルールが横行しており、驚かされることがしばしばある。

「松本走り」とは何か

長野県の中信地方に位置する松本市(画像:(C)Google)
長野県の中信地方に位置する松本市(画像:(C)Google)

 続いて、長野県の中信地方に位置する松本市で横行している松本走りだが、こちらは主に下記のような「強引な右折」のことを指している。

・信号が青に変わった瞬間、対向車線から直進してくる車がいるのに強引に右折
・反対車線沿いにある店舗などに入る際、対向車が接近しているにもかかわらず右折
・対向車が左折するのに合わせて右折

とにかく隙を見つけては右折してしまう。このことから、県外者などから

「右折車が直進車より優先されているみたい」

などといわれている。松本市にゆかりがある筆者(佐藤司、フリーライター)自身も、実際に松本走りを目の当たりにしているが、本当にその通りでヒヤッとした経験が何度もある。

 なぜ「強引な右折」が日常的に行われているかという点だが、それは松本市の道路事情に関係している。松本市は城下町であることから、片側1車線のみの道路がほとんどで道幅が狭く、一方通行も多いため、慢性的に渋滞しているのだ。また右折の矢印信号が少ない点も、要因のひとつとして挙げられる。

 このような状況から、

「対向車が途切れないので、右折をする時は多少強引に行かないと、いつまでたっても進むことができない」
「右折の矢印信号がない場所だと右折するタイミングが難しいうえに、片側1車線では後続車も待たせてしまうことになるので、ある程度の強引さは必要」

などと考えられ、右折優先が暗黙のルールとなり根付いてしまったようだ。

 ちなみに松本走りがなかなかなくならない理由として、ネット上では

「強引な右折が罰金の対象になる違法行為だと認知されていない気がする」
「東京では交差点に警察官が立ってるのをよく見かけるけど、松本市ではあまり見かけない。取り締まりが甘いせいで、横行してるんじゃないかな」

といったコメントも寄せられていた。

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