日野・三菱ふそう経営統合へ ファン多い「トラックブランド」本当に維持されるのか? ジェイ・バス動向も見逃せない
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日野自動車と三菱ふそうトラック・バスが経営統合に合意。統合は対等条件の下で行われ、両社の親会社であるトヨタとダイムラー・トラックが新会社を支える役割を担う。
大手結束で新たな展開

2023年5月30日、日本の物流業界に衝撃が走った。ともに日本を代表する大手トラック・バスメーカーである日野自動車(東京都日野市)と三菱ふそうトラック・バス(神奈川県川崎市)の両社が経営統合に合意したのだ。
このニュース配信に際して、市場にはいくつかの思惑が流れた。ひとつは、
「昨今は世界的にトラック業界の統廃合が進んでいる。日野と三菱ふそうという大手とはいえ、特に驚くべきことではない」
という冷静な意見。次に
「日野と三菱ふそうはいずれも過去に深刻な不祥事とともに会社の価値を毀損(きそん)している。それが合わさることに意味があるのか」
という厳しい意見。そして
「両社ともに基本的な技術力は高い。市場をリードすることも難しくない。とはいえどちらも現時点で他の大手自動車メーカーの傘下にある。今後資本関係はどうなるのだろう」
という経営のバックグラウンドに関する冷静な意見である。
これらの疑問点については、同日の記者会見においてできる範囲での説明が行われた。まず根本中の根本である経営統合のやり方である。日野、三菱ふそう両社は、完全な対等条件の下に新たな持ち株会社を作り上場を行う。事業内容は
・各種商用車の開発
・資材や部品の調達
・生産技術の向上
など。これらは両社が所有する技術情報を元に協業を行う。
日野の親会社であるトヨタ、および三菱ふそうの親会社であるダイムラー・トラックは、いずれも新設される持ち株会社の株式を同割合で保有する。この両社の役割は資本力を通じて新会社を支えること。そして日野と三菱ふそうがこれから歩んで行く、未来のグローバル市場に即した新商品の創造をバックアップすることである。