わずか25年で廃線 広島市「スカイレール」が浮き彫りにした、ニュータウン路線の逃れられぬジレンマ
2023年12月末に廃止が予定されている、広島市のスカイレール。なぜ存続に失敗したのか。
新交通システムの経営の難しさ

スカイレールの経営が行き詰まった原因のひとつに、乗客数の伸び悩みがある。2020年度の輸送人員から単純計算すると、1日あたり1300人弱が利用していることとなる。
元々、全世帯でひとり程度が1往復程度利用する想定だった。ほとんど整備が完了した現時点で約2260世帯であることからすると、本当に最低1世帯ひとりが毎日1往復利用することで、収支がやっとトントンになるレベルなのだ。
乗客数の伸び悩みの原因には、住民の車通勤や距離の短さがある。全長1.3kmのスカイレールに沿って歩道が整備されており、高低差があるにしても健康のためなら歩けない距離ではない。おそらく、瀬野駅に接続するみどり口駅に近づくほどその傾向は強くなるだろう。
こう考えると、想定違いや見込みの甘さといった以前に、ニュータウンの規模に対して過剰な設備だったといわざるを得ない。
ここに、ニュータウンの新交通システムの経営の難しさがある。乗客のパイは限られており、さらなる開発を行ってパイを増やしたとしても、
「駅から離れると利用されない」
ジレンマが残る。観光開発を行って定期外の乗客を増やす方法もあるが、そもそも住宅街と観光開発を共存させるのは難しいだろう。
建設費がAGTの約1/3と、優れた経済性がうたわれたスカイレールだった。しかしながら、ニュータウン専用の路線という限られた空間では、経営が難しいことが実証された。とはいえ、この実証結果は、ニュータウンの路線経営に関するひとつの成果といえるかもしれない。